461-0004 愛知県名古屋市東区葵2-3-4

2-3-4 Aoi, Higashi-ku, Nagoya, Aichi 461-0004 Japan

 

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© 2018 by NAO MASAKI and Associates

ハシグチリンタロウ Lintalow Hashiguchi (1985-)

書家 Calligraphy

タオルで書く書、ハシグチリンタロウの時代

いつの時代も、芸術は時代を映す。

超高層のビル群が乱立し、物質はますますスマートにコンパクトになり、スピード感を持たない目に見えない速度で意思も物事も伝達し処理される。まるでこの都市そのものが巨大なネットワークで繋がれているような緻密な感覚さえ感じる。アートにもテクノロジーなるものが入り込み、アーティストたちはこの時代を読み解こうと模索する。

昭和は過ぎ去り、平成も令和元年を迎えようとする今日、タオルで必要以上に大きな文字を紙に書き綴るというなんとも時代に真っ向から逆らうような行為を、夜な夜な七転八倒しながら繰り広げる男、、、それがハシグチリンタロウだ。

彼は長崎の片田舎に母親と住まい、昼間は農機具メーカーで働きながら、農繁忙期は、祖父母を手伝い、夜は作業場と呼ぶ祖父母の家の二階にある和室二間を占領し、墨と紙にまみれながら、耳にはボリュームいっぱいのパンクやロックをかき鳴らしながら立ち向かう。とはいえ、老齢の祖父が体調を壊したため、最近はイヤホンからの音だが。激しい動きに耐えれるようにおもむろに柔軟体操をして、目に飛び散った墨が入らないようにゴーグルを装着する。彼の言葉は、彼の書は、彼の行為は、はたして時代遅れの産物なのか?世界が、近代の産業革命も通り越し、利便のよい現代化された巨大なシステムに向かおうとしている中、都会や田舎の片隅に埋もれていく人々の意識、寂しさ、叫び、祈りがある。

ハシグチリンタロウは、自分の中に生まれた言葉のかたまりと社会の意識にシンクロニシティを感じる。たった一つの叫びがかき消されないように、作業場までにイノシシと遭遇するような田舎道を、爆音の音楽で奮い立たせながら、信号待ちでは、近所迷惑にならないようボリュームを絞るような繊細なこの作家は、自分自身に社会に負けないように打ち鳴らす。自身の腕で胸で身体でビートを刻み、まるで大きなスピーカーで音をかき鳴らすように、生まれる作品でこの社会に問いかけ、叫ぶ。自分が、人々がここに生きているんだという証を。

 

かつて「書は万人の芸術だ」と言った書家・井上有一(19 16 - 19 8 5 ) が逝ったその年に産声をあげたハシグチリンタロウ。今も魂を引き継ぎ、進化させ、もがき、書き走るその姿は、観るものに勇気と感動を与える。いつの時代も、芸術は時代を映す。そして、価値観を壊し、新しい時代へと導くのも芸術だ、わたしは、このアナログスピーカーのような魂と行為を力強い次代への道標へと振りかざしたフラッグのように打ち立てた作品を頼もしく誇りにさえ思う。こんな人物がまだいた、こんな人物が日本にいると。まだまだ日本の芸術も捨てたもんじゃないと密かにほくそ笑むのである。

Gallery NAO MASAKI

正木なお

<プロフィール>

10代の頃に音と感情と言葉が混然となったパンクロックに出会い、創作活動の原点的な体験となる。伝統的な書道技術を学ぶも、60年代の舞踏や具体、前衛芸術、特に前衛書の井上有一に影響を受け、「書は万人の芸術」であり「日常から生まれた、日常を生きるためのエネルギー」との考えに至る。日常から遠くなり高価な伝統的な毛筆を使うことをやめ、身の回りにあるタオルで書くようになる。エネルギッシュで大胆な筆致や紙面サイズが特徴的。ロックの音に着想を得て、アルファベットやギザギザとした音の波形のような作品を制作、精力的に作品発表を行う。2018年「ART SHODO TOKYO」に連続選出、注目される。2019年、LUMINE meets ART AWARD2018-2019グランプリを受賞。 

 

2008年    個展『情熱ハ死ナズ』@福岡 IAF shop* 

2009年    福岡教育大学 教育学部中等教育教員養成課程 書道専攻コース卒業 

2010年    生島国宜との2人展『それまでだ。』@福岡 天神パークサイドギャラリー(ナンガーランド名義)

2013年    『録〜それから〜』@福岡県立美術館

2015年    『第7回 天作会展(井上有一に捧ぐ「書の解放」展)』に選出 @東京 三鷹市芸術文化センター

2016年    『Calligraffiti Asia in Japan』@東京 THE blank GALLERY

2017年    『書の未来展』@東京 伊藤忠青山アートスクエア『Calligraffiti Asia Vol.2 The Juxtaposition』アジア3都市での連動企画『第8回 天作会展(井上有一に捧ぐ「書の解放」展)』に選出 @東京 三鷹市芸術文化センター  書籍 『ミライショドウ』山本尚志 編/ 発行者 佐藤辰美/ 発売元 YKG Publishing

2018年    『ART SHODO TOKYO SPRING 2018』に選出 @東京 三鷹市芸術文化センター

       『ART SHODO TOKYO AUTUMN  2018』に選出 @東京 三鷹市芸術文化センター

2019年 「現代の書 ARTSHODO 三人軌跡」@Gallery NAO MASAKI, 名古屋

Art Fair Tokyo 2019出展

2020年  ハシグチリンタロウ展『WLIGHTER DESCENDENTS/ COSMYTH』@アトリエ2001, 神戸 『ARTISTS’ FAIR KYOTO 2020』に選出 現代書の新しき展望-contemporary art shodo- @福屋, 広島

Gallery NAO MASAKIにて

<企画展>

2019 「現代の書 ARTSHODO 三人軌跡」

<受賞歴>

LUMINE meets ART AWARD 2018-2019 グランプリ受賞

シェル芸術賞2019 入賞