vol.140

大森準平 「内と外と中_ウチとソトとアイダ」

2022.9.3(土) - 9.18(日)

Open : 13:00 - 19:00

Closed : 火曜・水曜

縄文へのプロセス 

 

 縄文土器はその時代のアイデンティティーでありシンボルであった。その存在はすべてを語り尽くしていた。生きるための、生活のための、祈りであり、道具。命と直結したその土器は、文様の中にすべての要素を含み込んでいた。永続性、生と死、男と女、生きとし生けるものの存在、畏れ、創造。静物でありながら、そこには絶え間ない動きや変化が見えた。土そのものが生きているということを知っていたのであろう。それは単なる素材ではなく生命そのものだった。また火を加えることで変化するそのマジックを扱えるものは、シャーマニックな存在であったであろうと想像するに難くない。

 

 大森準平というアーティストは本能的にそういったマジックに魅せられてきた人物だ。色やカタチへのずば抜けた感性が加わり、現代の自分なりのマジックをかける。自分自身が何より楽しみながらその不思議さに反応する。自身が経験した生と死の体験が、もう一つ先の表現へと向かわせているのだと思うが、やはりそれは縄文を再解釈するプロセスなのではないかと密かに感じるのだ。

 

Gallery NAO MASAKI 正木なお

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「形がずれたアイダに色をいれる。色だけを抽出するとそれは平面になる。」

 

 自分がやってきたことを振り返る。父が建築士で紙に緻密な平面で書かれたものから立体が生まれるのを小さな頃からみているうちに、だんだんと狂いのない世界から生まれる建築と反対のおおらかなものに惹かれていった。

 

 手の中から生まれるもの、漠然と土の素材を選んでいた。立体作品をつくりたくて、失われつつある職人的な技術へのあこがれもあり、大学で焼き物をやりだした。土を使っているのに軽いもの、素材と反するものをつくりたくて、浮遊するものをイメージした球体や乱分割した形を空中から150個ほど作って、空間に球体を作り出す、そんなことをしていた。自分で選んだ素材なのに、何か変化、マジックをかけたい、そんな願望がいつもあった。

 

 日本的な原始的な行為にひかれ、野焼きを9年ほどしていた、工程の中に松の葉を入れて真っ黒にするという黒陶があり、黒陶の磨きの技術では形は複雑なものにならないから、かたちはよりシンプルになっていった。

 

 黒陶で抽象化されたシンプルなものを作り続けてていくと全く違うアプローチにベクトルが向いていった。日本古来のもっと複雑なものへと興味が湧いた時期に、地元の美術館(旧愛知陶磁資料館)のコレクションの縄文土器を初めてみた。こんなものがあったんだ…その衝撃を今でも覚えている。いつしか縄文の形を自分で作りたいと思うようになった。

  みたこともないアメリカのビビッドな真っ赤な顔料で縄文土器をつくった時、異素材のような感覚がした。顔料を使って窯からとりあげた真っ赤、青、黄色、原色の色たちでつくった縄文土器は自分自身に強烈なインパクトをのこした。野焼きで黒陶の真っ黒を作っていた時も土という物質が生まれ変わったように感じたことを思い出した。2010年から2019年まで縄文土器のシリーズを作った。縄文の形を手で螺旋状に成形していく過程の中で生まれてくるものが実は空洞という内側なんじゃないか。見えているものは外だけれど、実はその中を意識して作っているという事に気づいた。

 

 数年前、自分の体に癌がみつかって生と死の間を行き来して、アイダという概念を意識したときがあった。今、僕は生き残っているけれど、生と死のアイダはやっぱり存在している。焼き物も土と熱のアイダでできたから存在する現象。物と物がおいてあるだけ、でもそこのアイダにあるものを意識する。人と人の関係もそう。

 

 今回はアイダを色と形で表現している。形がずれた中に色をいれる、色だけを抽出するとそれは平面になる。また不思議なマジックがかかったような面白さを感じている。

 

大森準平

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大森準平 Junpei Omori

​陶芸家 Ceramics

1979 愛知県名古屋市生まれ

2003 京都精華大学 芸術学部造形学科陶芸専攻卒業

 

個展

 

2003, 05~09  ウエストベスギャラリーコヅカ/名古屋

2011「Cord Chord Code」Showcase MEGUMI OGITA GALLERY/東京

2015「loop warp rope hope」Showcase MEGUMI OGITA GALLERY/東京

2019 「甦りと創造」 NAO MASAKI GALLERY /名古屋

2020 「解放と構築」 MEGUMI OGITA GALLERY / 東京

 

グループ展

 

2001「陶」ギャラリーそわか/京都

2002「BEAT23#」ギャラリーマロニエ/京都

       「BEAT3#」ギャラリーアンフェールBOX/京都

2005「弐千五年睦月展」ウエストベスギャラリーコヅカ/名古屋 (05~09)

      「オブジェ←→ウツワ」市之倉坂付き美術館 ギャラリー宙/岐阜

2010「モンブランヤングアーティストパトロネージ/モンブラン銀座/東京

2012「XYZ」MEGUMI OGITA GALLERY /東京

       「マリンコング」 MEGUMI OGITA GALLERY / 東京

2013「Gift of ART」伊勢丹新宿店/東京

       「Junmin+」Showcase MEGUMI OGITA GALLERY /東京

2014「現代の肖像」銀座三越8Fギャラリー/東京

       「GEMS」Gallery Maronie/京都

2016「NEW WORKS」Gallery Maronie Gallery4/京都

       「アート&アケオロジー」京都

       「陰翳礼讃」銀座三越/東京

       「TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR 2016」表参道ヒルズ/東京

2017「東武絵画市 2017」東武百貨店 船橋店/船橋

      「ARTs of JOMON/Hyper Subculture」マレーシア

      「Kyoto Art for Tomorrow」京都文化博物館/京都

2018「陶ISM 2018 in 横浜」横浜赤レンガ倉庫一号館2階 / 神奈川

      「Bon voyage!」Kara-s / 京都

       「TATEANA展 BEAMS JAPAN×縄文ZINE」ビームス ジャパン4階 / 東京

      「技巧派コンテンポラリーアート展」伊勢丹新宿店本館5F アートギャラリー/東京

2019 Art Basel Miami /Design Miami / Pierre Marrie Giraud /アメリカ

    Art Barsel Barsel /Design Miami /Pierre Marie Giraud/スイス

2020 「祝祭」ギャラリー恵風/京都