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[大阪, 日本]

EXPO 2025 大阪関西万博

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2025.4.13(日) - 10.13(月)

9:00 - 22:00 

大阪、夢洲

主催|大阪関西国際芸術祭実行委員会

協賛|株式会社アイチ金属

施工|株式会社アイチ金属、株式会社杉岡工務店

協力|Gallery NAO MASAKI

Artist Statement

 

今回の万博で僕にとって重要なトピックは、あの岡本太郎による太陽の塔が放つ時代を超越したメッセージ、それに共鳴をして今の時代に何を作るかということでした。今の時代、文字というのは書くものから打つもの、表示されるものになりました。それは文明が発展する過程であるとともに、文字が生まれた頃にあった力を失っていく過程でもあったと思います。

遠い昔、形のないものを共有するために言葉は生まれました。でも、言葉は空気の振動なので発するとともにすぐに消えてしまいます。でも、そこで消えないで欲しいと、誰かを愛おしむとかあるいは抵抗する、そうした人々の思いの強さから文字は、時代を超越するために生まれたのだと思います。

今回の作品《anima harmonizer》は魂を重ね合わせ、調和し、奏でるものという意味です。これは空想から生まれたものです。形なき魂が無数に漂っていて、そこからポタポタと流れ落ちる感情の雫。それが集まって次第に生命運動を始める。そうしてその中から生き物のようなものが姿をなして魂の声を響き渡らせる。現代に生まれた文字の生き物の誕生の瞬間です。そんなお伽話のようなものを象形文字の手法としての単純な動き、かたち、そして反復を用いて表現しました。

文明の発展も、個人の成長も、その過程で起こるのは分裂です。これは必然だと思います。その分裂したものをギリギリのところで統合して、生かすために自分の奥深くからもう一段、大きな精神が生まれてくる。そのようにして一人の人間の中にはこれまで分裂してきたいろんな自分がいる。それでもその中にある、誰もが持っていた、幼かったころの純真さというのは決して死ぬことなく残り続けるものだと思います。この作品が時を超えて、人々の奥底にある純真さと共鳴をして力を与え続けてくれることを願っています。

今回の実現にあたって、最大限の労力を持ってご協力していただいたアイチ金属様、合わせてGallery NAO MASAKIのスタッフ、芸術祭の運営のみなさん、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 

ハシグチリンタロウ

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Lintalow Hashiguchi ハシグチリンタロウ (1985 - )

 

1985年生まれ。2004年、書を始める。punk rockや、戦後の前衛芸術運動の多大な影響、また、書家・井上有一の「書は万人の芸術である」という考え方が表現の素地となっている。日々閃く言葉をノートに書き付け、2016年頃から曲のタイトルのような短い英語のフレーズや造語を書くようになる。アルファベットを「音素に分解された後、発語の中に消え入るもの」と理解し、文字同士がぶつかって出来る塊のような表現となるが、その背後には日本古来からの空間性や言語観が息づいている。制作はタオルで書くpunkを彷彿とさせる一気呵成のスタイル。タオルに含んだ塗料から飛び出したような文字と向き合う中で「塗料から生まれる生き物としての文字」の考え方に至る。文字の持つ「時代を超えて人々の交感を起こす力」を見つめ、「しるしと人類」という視点から書に取り組む。

EXPO 2025 大阪関西万博

会期|2025年4月13日(日)- 10月13日(月)

時間|9:00-22:00 

会場|夢洲

入場|要チケット(詳細は以下からご覧ください)

https://www.expo2025.or.jp/tickets-index/price/

HP URL| https://www.expo2025.or.jp

 

Study : 大阪関西国際芸術祭

会期|2025年4月11日(金)〜2025年10月13日(月)

時間・入場|各会場により異なります。以下の詳細よりご確認ください。

https://osaka-kansai.art/pages/venue
会場|大阪・関西万博会場内 / 大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア / 中之島エリア(大阪府立国際会議場)、船場エリア / 西成エリア / 大阪キタエリア / 松原市ほか

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[東京, 日本]

不滅 
堀尾昭子, 那須佐和子

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2025.6.15(日) - 7.6(日)

12:00 - 19:00

biscuit gallery

東京都新宿区新宿3-32-10 松井ビル8F

Artist Statement


不滅
Fumetsu

堀尾昭子さんは自分の作品に「無題」と名づける。
「作品は無言であるべき」という彼女のスタンスからだ。
それをはじめに断っておく必要があると思われる。とはいえ、彼女のスタンスをそのまま、飾り立てずに置いておくため、私の作品も参加するこの展覧会には別の名前を冠するべきだろう。私は本展覧会のタイトルを畏れ多くも「不滅」と決めさせてもらった。
作品達について語らないために、ここではただそのタイトルを名付けた動機だけを語ることにする。

それを作った人が、それから手を離した瞬間の、そのままで置かれたモノを見る。このモノが不滅だとは誰も言えない。これは不滅ではないのだろう。ただ、その人がそれから手を離した瞬間、その瞬間だけが不滅と呼べるものだった。

ミランクンデラの同名小説『不滅』では、二つの女性像が提示される。一方は、自分の自我を不滅の存在へと押し上げるように手を大きく掲げる女性。他方は、自我を運び回る容れ物としての自分ではなく、ただの存在として消え入ることを望む女性。
前者は歴史を動かすある動源を代表し、後者は、どうだろうか。ただ歴史の流れから立ち止まることを選び、そして立ち去ろうとする存在だ。
美術は前者のような人間が作り出してきたといえよう。しかし時に美術は立ち止まることを教えてくれる。立ち止まらないとモノを見ることはできないから。モノは杭のように時の流れの中に突き差さっている。流れの中に消えさるべき或る人間がそれに触れた最後の時のままで。

堀尾さんの作品も私を立ち止まらせてくれた。彼女はこれらを自分の手から離して、世界へ置いて行った。目の前のエフェメラルな素材から成るモノとは裏腹に私が感じたのは、これがまさに不滅ではないかということだった。

世代を超えた女性作家同士による対話の場として、また、空間と作品の関係性を再構築する試みとして、本展覧会は新たな視点を提示いたします。

 

那須佐和子

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