vol.76
植松永次 Eiji Uematsu
土から
2014.11.15-11.30
空間に広がる土の色、気配、匂い。
植松さんの作品を配すると、その場の空気はゆるやかに変わる。
手に触れる前にもうそこに温度をすら感じさせる、その存在感は一体なにか。
土の片鱗が曇りなく、器や造形物にいたるまで、一貫してカタチとして現れている、技術をとうに超えたところにある、
正直で豊かな発見がある植松さんのしごと。
植松さんは「日々の中にこそ、大切なモノがある。」という。
わたしたちは土の上に生かされ、土の恵みを受けている。
そういう当たり前の中に見つける神秘なまでの素朴さを、優しく掘り起こし、そっと置く姿勢に心が洗われるような気がした。
慌ただしい日々の中に、眼にも掌にも、変わらずぬくもり続ける土の姿を感じてほしい。
正木なお
植松永次 Eiji Uematsu
1949年 神戸に生まれる。
1972年 平面での仕事から自然の材質に引かれ土に解れる。そして土の材質を確かめる事が土での仕事の始まりとなる。
1975年 東京より信楽に入り、工場勤務の傍ら土を感じ自らの制作を続ける。
1981年 グループ展で発表。
1982年 伊賀市丸柱に住居と仕事場を移し土と火の根跡が形となって来る。
1986年 初個展以後全国で個展、グループ展に参加そして生活の中で器も生まれる。
Eiji Uematsu
1949: Born in Kobe city.
1972: After devoting himself to painting and engraving, Uematsu was fascinated by natural materials and decided on using clay as his medium. His career as a potter all started by carefully selecting the quality of clay.
1975: Moved to Shigaraki in Shiga Prefecture from Tokyo, he continued to create his own works in addition to working at a factory.
1981: Promoted his works at a group exhibition.
1982: Relocated and established his atelier in Marubashira, Iga city. The results of his efforts and experience from working with clay and fire became tangible.
1986: Since holding his first solo exhibition, he has continued to hold several solo and group exhibitions. Practical but unique bowls and vessels have also been created as a result of his everyday insights.