vol.135
礎・素/鉄と土
内田鋼一 Kouichi Uchida
2021. 9.24(金) - 10.10(日)
「原点の素材」
内田鋼一の生家は鉄工所を営んでいる。小さい頃からものづくりの現場を肌で感じていた内田にとって鉄という素材は、馴染みがあると同時にカタチをつくるうえでの礎となるものである。
土は焼き上がると硬質にもなるが、カタチの始まりは泥土である。鉄は熱を加えて柔らかくすることで成形する。
内田は、素材の生成を感覚的に受け止めているようで鉄も土もするりと取り組む。
今回の展覧会は素材の原点としての「土」でどうであろうかと投げかけたが、答えは「鉄と土」だった。なるほどと腑に落ちた。内田鋼一にとってはどちらの素材も馴染みよく、自分を現すのに相応しい素材なのだろう。
もっというと最近の彼のものづくりは手を動かす以外にも多岐にわたり、本人にとっては境目がないのかもしれない。
しかし手と眼を備えた絶対的な自由なものづくりの感性は類まれなものがあり、ギャラリストとしては未だ未だ魅せていただきたいといつも心待ちにしてしまうのである。
Gallery NAO MASAKI 正木なお
内田鋼一/陶芸家
1969年愛知県生まれ。三重県在住。90年愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科修了。アジア、アフリカ、ヨーロッパ各地の窯業地での滞在制作を経て、92年三重県四日市市に工房を構え独立。無国籍性、素材の質感を重視したスタイルを特徴とする。また古陶磁、古道具を蒐集し、2015年、四日市萬古焼を紹介する私設美術館「BANKO archive design museum」(三重)を開館。国内外での展覧会多数開催。
Gallery NAO MASAKIにて
<個展>2008「born; 生まれくるかたち」,2011「像 HITOGATA」, 2013「内田鋼一 x 小田康平 サボテン 器 宇宙」, 2015「うつわのある空間」,2018「シンプルなかたち」
<グループ展>2009「エジプト帰り展」, 2012「アーティストによる家具展」,「縁起モノ展」, 2013「something new,with feel art 10」2019 アートフェア東京2019 ,「辻徹追悼展 -現-」, 2020 青花の会|工芸祭2020 , 特別企画展「編む~桑名・MARUYO HOTELにて~」