vol.118
辻徹追悼展 Toru Tsuji
"現 utsutsu"
2019.4.13 - 4.28
【参加作家】
辻徹
内田鋼一
梶なゝ子
加藤尚子
佐藤貢
中西洋人
長谷川竹次郎
宮下香代
昨春4月、写真家・辻徹 [1945-2018] が逝去した。3年前に展覧会『刻 toki』が開催された時、会場に流れる静かな情景、気配ともいえるアーティストの世界観に、訪れた多くの人々が圧倒された。辻の追い求めていた美は何気ない日々の中にあり、うつろい、いつか消えゆく森羅万象の理、作家の網膜あるいは記憶の奥底にそこはかとなく流れ続けるイメージの源流そのものであったように思う。
「ー道ばたの草や足下の小石にさえ、海綿に水がしみわたるように、ひたひたと、壮大な宇宙のいとなみにまで想いがつながり、陶酔させるのである。ー(辻徹 写真集『刻 toki』巻末寄稿文より抜粋)
辻の書き綴った言葉の通り、夕闇の中にわずかな残り陽に照らされた農具小屋、街角の隅に忘れられたように佇む朽ち果てた土塀、、、どの被写体もこの繊細で清らな情愛溢れる視線をもつ写真家によって見出され、その一瞬の「とき」を刻まれた。
この度、この稀有なアーティストの遺した膨大な作品のほんの僅かではあるが、才溢れる断片をご紹介できることとなった。今回は「現 -utsutsu-」と称して、辻徹の写した、彼のフィルター越しに映る世界が登場する。それは時にユーモアと幻想を含んだ彼のイメージするこの世界への探求を垣間見ているようでもある。
また今回特別に、辻徹氏の写真の他、氏と親交のあったアーティスト7名の方々に辻徹氏へのオマージュとして作品を出品していただいた。開催にあたり、ご協力いただいたもりれいこ氏、有志の方々へこの場を借りて感謝を伝えたい。そして何より、生前、フィールアートゼロ(現 Gallery NAO MASAKI )の展覧会案内状の多くを撮影、写真を通じて共創いただいた辻徹氏に心からの感謝とリスペクトを込めて、、、
この貴重な機会を共に感受できることはおおいなる幸いである。多くの方々のご来廊を心よりお待ちしています。
Gallery NAO MASAKI
正木なお
……………………………………………………………………………………………………………
辻徹 Toru Tsuji
写真家 Photographer
1945年、東京生まれ。幼稚園の卒園を待たず各地を放浪。両親の離婚もあり、30業種を超えるアルバイトを経る。日大芸術学部に7 年在籍後中退。流通、交通関係PR誌の編集に参加、撮影にたずさわる。仕事を超えた、コマーシャルリズムにとらわれない自分なりの表現を求めてゆくなか、森羅万象のはかなさに辿り着き、以後そのはかなさを自分の価値基準として写真を撮り続けた。2018年4月永眠。
Gallery NAO MASAKI(旧gallery feel art zero)にて
<個展>
2015「刻 -toki-」、写真集「刻 -toki-」出版
<グループ展>
2008 「オマージュ」
2015「something new, with feel art 10」























