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vol.91

佐藤 貢 Mitsugu Sato 

揺らぐ形

2016.5.28-6.12

音を可視化する、あるいは己を調整する装置? 

 

辿り着く廃棄物たちで作られる佐藤貢の作品はある意味、音を視覚化させる装置のようだ。

破茶目茶ながらも、秩序だって調和的である。

佐藤貢は、2 2 歳の時、大阪南港から船で中国に渡り、インド、チベットと陸路を破天荒な旅をする羽目になる。その2 0 年後に旅行記を執筆することになるのだが、その日付は不思議にも、ちょうど2 0 年前の日記に書かれている同じ日付だったという。 全く、佐藤らしいエピソードである。時の流れを旅して、今に続く作品の中にある佐藤の線や形は、彼が惹かれて止まないという 「音」世界そのもののようであり、また見えない精神の形なのかもしれない。

辞典によると「音」とは空気中に伝わって聴覚に伝えられるものだけをいう場合もあるが、音はほとんどの気体・液体・固体中を伝播する水紋と一緒で波の形をしている。バリのガムランやアフリカの太鼓や鐘など、世界各地のシャーマンの儀礼や霊界との交流を図るときには打楽器が用いられる傾向があり、日本の神社においても柏手を打ち、鈴を鳴らす。 拍手は足を踏み鳴らす音とともにもっとも原始的な衝撃音である。

佐藤の作品に触れた時、何か大切な記憶を引きずり出されるような、奇妙な感覚や体験を得る。今回はオルゴールや錘などを使い、佐藤自らが削り、足し、組み立て、編曲した、かなり奇妙で独自な機械仕掛けの立体・音作品が並ぶ不思議な異空間となった。この強烈な個性をもったシャーマニック的揺らぎがもたらす空間に、我々が通常縛られている、時間と固定概念の束を放り出し、身も心も浸したならば、きっと各人がもつ” 己”という独自の感性が働き出すに違いない。

 

正木なお

 

 

佐藤 貢 Mitsugu Sato

美術家 / 1971 年、大阪生まれ。大阪芸術大学美術科中退後、中国よりアジア諸国、アメリカ、中南米諸国などを放浪。1998年、和歌山市へ移住後 漂流物を用いて作家活動を再開。 2005年に大阪での個展を皮切りに東京、名古屋などで展覧会を開催。 2010年、名古屋に移住。

「漂流物を拾ううちに、自分こそが漂流物であることに気がついた。」 と佐藤は言う。

2014年、自身の数奇な人生を綴った『旅行記・前編』が出版され、メディアなどで取り上げられる。