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vol.56

太陽系時空間地図地球暦 

循環

2013.4.6 -4.14 

時代を映す鏡、時の羅針盤

 

人は生命体の中でも特別な存在だと思う。

時代を作り、社会を作り、未来を方向づけていく意図を持って暮らしを営んでいる。

おそらく『時』という概念も人だけが持つ特殊な感覚ではないだろうか。

本来、暦とは自然の動きから作られるものだが、社会秩序として息づいている暦には作り手が存在し、その制度は意図的なものである。

今はカレンダーといえば西暦と呼ばれているグレゴリオ暦だが、ところ変われば様々な時の体系が存在し、それらは時代とともに形を変えている。日本はこれまで大きな改暦だけで九回、西洋はユリウス暦からグレゴリオ暦の一回、中国では政治とともに五〇回以上のの改暦が行われてきた。暦の変革とは、時代の革新を意味し、それはまさに人類の意識進化の具体的な現れとして歴史に足跡を残している。

 

現在、世界人口は七一億人を超え、ネットワークは瞬時に全体をつなぎ、物理的にも二四時間以内に地球の裏側に行くことが可能になった。銀河の大規模構造から素粒子の微細構造までの、マクロからミクロの自分たちのいる環境をようやく把握した私たちだが、地球史の中ではここからが物語の本筋となる最もドラマチックな場面を迎える。百億年程と推定される太陽系の寿命に対し、現在の四六億年とはちょうど人生の半分にあたり、太陽も惑星も成熟し、太陽系はこれからが花盛りなのだ。

 

お茶の間にいながら、知覚範囲が宇宙まで届く現代。私たち一人一人が、大宇宙を航海する羅針盤を持ち、星のめぐりを天然の時計の針とし、大きな『循環』の中で、自分らしく今を生きることこそが、新しい時代の扉を開く鍵なのかもしれない。

正木なお

村瀬 貴昭 

Takaaki Murase / コラボレーションアーティスト : リプランター作家  

幼少の頃より盆栽をはじめとし、あらゆる植物を育てる。同時にプラモデルやゲームなどに親しむ。盆栽や庭作りの背景にある“小宇宙”の理念をもとに、その他の人工物などとの相性を考えて組み合わせた“生きたオブジェ=Re:planter (リプランター)”を制作。消費社会への問いかけ、Recycleの新たな方法や価値を京都より提案する。今回は照明器具と植栽が一体化した中空に浮かぶ庭、Space Colony シリーズをインスタレーションとして展示・販売します。

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