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vol.39

西田信子 Nobuko Nishida

西田信子の美学

2011.11.12-11.27

『使用するモノ=使用されるモノ』それはある意味『モノ』を媒体として成り立つ実の世界だ。

それが『モノ』が人を魅了した時から感性の世界にとって変わる。『使用する者と使用される物』という主従関係に似た感性と愛の領域。

どちらが主でどちらが従なのであろうか。

 

私は西田信子の鞄にふれた瞬間から、彼女の生み出す世界観の虜になった。

 

「好きな鞄がなかったから。」デザインに始まり、フィレンツェへの革の加工発注、制作までその一切を一人で手掛ける西田信子。

革という業の深い素材にあえて向か合い、慈しむように触れ、制作する姿は祈りの様であり、また儀式の様相をすら漂わせる。

 

「大きなトートバッグは一つの命からひとつだけ、一人の方の為に作ります。」

徹底した美学ともいえる彼女の姿勢。確かな技と洗練された品格を醸し出す作品は国内外での評価も高い。

今やイタリア植物タンニン鞣し革協会より世界で13のブランド・マイスターとしての称号をアジアで唯一与えられるまでとなった。

 

楚々とし、洗練を携える静かで強い花の様な鞄…してその作り手は…と問えば、小柄で妖しいまでの美しさを携えた舞台の花、仕手の様に共に私たちを魅せる。

花が魅せるのか、仕手が魅い出すのか、これまた終わらぬ問いである。

正木なお

 

 

西田信子/Nobuko Nishida

 

英国のファッションブランド、ヴィヴィアン・ウエストウッドの独占輸入契約に携わり、同ブランドのマーケティング、ライセンスビジネス、PR業務を行う。2000年に業務休止後、革の製作を学ぶ。バッグデザイン及び制作を初め、2005年にアトリエ設立。2008年5月代官山にショップ、Nobuko Nishida をオープン。2009年イタリア植物タンニン鞣し革協会より、世界の優れた革ブランド・マイスター13の一つとして選ばれる。作品は、イタリアを代表する写真家オリヴィエロ・トスカーニ写真展 "Hand made in Italy"の中で被写体となり、同展は、N.Y.・東京・ミラノ・フィレンツェ・ソウルの各都市を巡回。

 

一期一会の作り手としての美学を醸し出すNobuko Nishidaの作品に魅了される人々は日々増えている。

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