Vol.123
中西洋人 Hiroto Nakanishi
「宿り木 Yadorigi -trees divine spirit resides in-」
2019.10.4 - 10.20
「宿る記憶、そして形」
一緒に山の中の廃寺へ続く道を歩いたことがある。「ここが僕の宝物です。」台風で倒木した木々の墓場のような場所で一本の倒れた木を切り出す。中西洋人の選ぶ木は、言わば骸(むくろ)だ。その一本一本の皺や虫喰いの痕を丁寧に愛でる。彼が木々の何に惹かれ、何を見て、何を話すのか、私達に実の所はわからない。ただ、形を削がれ、整えられた自然物から生まれた彫刻の清々しい立ち姿に、若き仏師のような志を形でみたような気がした。彼が留めたいのは木々の生命やそれを囲む土地の、あるいはそこに暮らした人々の、そういう様々な記憶や気配なのかもしれない。
Gallery NAO MASAKI
正木なお
出来上がったものは道具でもなく、強いメッセージがある作品でもない。
その木が生まれ過ごした時間や場所、風景の記憶。
そこに自分の中にあるイメージの断片を引っ張り出して注意深く手を加える。
木の形に沿って削ってみたり、木肌をなるべく多く残してみたり…
どこまで手を加えるのか。止め時も重要。
ぼくの思っていることや記憶などはどうでも良い。
ただ、そこに宿っている存在を彫り出したい。
中西洋人
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中西洋人Hiroto Nakanishi (1984-)
木彫 Woodcarving
愛知県名古屋市生まれ、滋賀県北部在住。木工を学び、家具制作を始める。2008 年に工房開設、素材をみつめ制作を続ける。2010より個展を中心に活動 2011 秋、滋賀県へ移住。
Gallery NAO MASAKI(旧gallery feel art zero )にて
<個展>
2014「その姿」
2015「象る」
2017「現す arawasu」
<グループ展>
2012「貌 KATACHI」
2013「something new,with feel art 10」
2019 アートフェア東京2019出品