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執筆者の写真naomasaki

vol.145深谷秀隆 Hidetaka Fukaya「IL SOGNO / 夢」




 初夏の気配とみずみずしい新緑が映える季節になってきました。Gallery NAO MASAKIでは5月20日(土)より深谷秀隆展覧会「IL SOGNO / 夢」を開催いたします。フィレンツェで靴職人の第一人者として活躍する一方で、2015年から発表する彫刻作品は卓越した技量と世界観で魅了します。 会期初めの2日間は作家も来日しておりますのでぜひお越しください。


vol.145 深谷秀隆 Hidetaka Fukaya IL SOGNO / 夢

2023.5.20(土) - 6.4(日) Open : 13:00 - 19:00 Closed : 火曜・水曜 作家在廊日:5.20(土), 6.4(日)


 

足元は人の世界を現す、或いは靴の見る夢。


イタリア、フィレンツェで研鑽を積み、日本人初唯一の靴職人マエストロである深谷秀隆は、著名人含む数多くの人々の足元をみつめてきた。2015年、自身の高級紳士靴ブランド il micio設立10周年の折に、フィレンツェ縁の彫刻家、マリノ・マリーニの美術館『Museo Marino Marini』(フィレンツェ美術館)にて彫刻作品を発表した。

制作の工程は自身の靴作り同様、木型を彫り、それに合わせて革靴を縫製していく。大きく違うのは、採寸作業がはいらず、深谷自身の趣くままそのフォルムを生み出すこと。日々人の足元をみつめ、そこに自身の美学を形作る深谷は、その培われた技術と独自のアーティズムに基づき、より自由で深い表現の世界へと足を踏み入れることとなる。

深谷が生み出す靴の彫刻たちは、人格をもって存在する。あるものは軽やかに歩き、あるものは苦しみ傷つき立ち尽くす。彼らはユーモアやシニカルさを合有した人間そのものを端的な表現で現しているようだ。日本では2017年に東京表参道のGYREで開催された展覧会を通じて彼の才能を間近に見た人々もいるであろう。

それから6年、この世界全体の変容に伴うように、この鋭い感受性をもったアーティストの世界はより抽象度と表現力をもち深まっている様に感じる。それは個人の足元を越え、人間社会全体が向き合う足元へと変化し、圧倒的な存在と世界観を我々に見せつけるに至る。ここで映し出される世界は、混沌なのか或いはおおいなる靴の夢みた世界なのか。

日本で誕生し、フィレンツェにて発信を続けるアーティスト深谷秀隆のさらなる表現を紹介する今展を多くの方にご覧頂きたい。

Gallery NAO MASAKI 正木なお



 


深谷秀隆 Hidetaka Fukaya

1974年愛知県東海市に生まれる。幼い頃からもの作りが大好きだった深谷は、1993年高校卒業後、名古屋モード学園に入学。在学中より靴づくりに興味を抱き、名古屋のシューズメーカー松田繁太郎氏に師事し、靴作りの基本を学ぶ。同学園クリエイター・オブ・ザ・イヤーを受賞、首席で卒業後、上京し〈Kensho Abe〉ブランドデザイナーを務める。『誰にもまねできない、自分にしかできないもの作りがしたい』と考え、ビスポークの靴職人になることを決意、1998年単身イタリアに渡る。シエナのアレッサンドロ・ステッラ氏に師事。卓越したセンスと探究心の強さで腕を上げた。1999年自身のブランド『il micio(イル・ミーチョ)』を立ち上げ、自らの靴づくりをスタートさせる。『il micio』イタリア語で”子猫”を意味する。猫をこよなく愛する深谷は、かの気高い生き物のように誰にも媚びず、自由な精神で自らの靴づくりを追求したいという想いを込めこの名をつけた。やがてその才能をフィレンツェの老舗ショップ『Tie Your Tie』のオーナーであるフランコ・ミヌッチ氏に認められ、2003年より同店シューズデザインを手掛ける。2005年日本人として初めて海外にビスポークのショップをオープンさせる。日本国内有名セレクトショップのシューズデザインも手がけ、そのデザインセンス・才能には高い評価を得る。更に近年はアーティストとして、自由な表現性を追求した彫刻作品を制作、2015年に店舗10周年にフィレンツェにある『Museo Marino Marini』(フィレンツェ美術館)にて作品展を開催。2017年東京GYREにて巡回展開催。

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